料理の記憶 〜初めてのアルバイト〜
人生で初めてアルバイトをした「ラーメン屋」さんの話
札幌中心部の狸小路には当時キクヤ楽器の地下に一軒のラーメン屋さんがありました。
その当時私は15歳で中学校卒業したばかりだった。
高校の入学式も済んでいないのに、アルバイトに憧れていて、
春休み期間中、毎日アルバイト募集の広告をチェックしていた。
そんな気持ちも強くあっという間に初面接、初履歴書、初アルバイトが決まった。
しかし
理想と現実は異なり、私のワクワクがクタクタに変わる。
ラーメン店は当時かなり流行っていたらしく、オープン間もなくあれよあれよと満席状態。
右も左もわからない私にとっては1日があっという間に過ぎて行ったものです。
やる気で入った頃とは違い、すでにやる気なし。
仕事もろくに出来ず、いつも店長とケンカばかりでした。
今、考えればくそ生意気なガキです。
私の仕事はスープがなみなみ入ったラーメンどんぶりを熱いのを我慢しながらお客さんの元へ持っていくのが精一杯。
ある日店長が「そろそろ片手で一個ずつ持て!」
というので、挑戦してみたところ腕はぷるプル。指はあつあつ。
危なっかしい感じ・・・・
アワワ、アワワ、
案の定・・・
お客さんに向かってジャバ~!!っとこぼしてしまいました!
そのお客さんバイクで来ていたらしく全身ライダースを着ていて
そこにラーメンかぶったものだから、熱いし、くっつくし!!!!
「あちーーーーーー!!!!」
「なにすんだオメー!!」
「あちゃー。やっちゃった。」
「あちゃーじゃねーよ!!店長出せ!!」
今でも思うのだが、なぜあの時ちゃんと謝れなかったのか。
結局、私はたいした反省もせず。つっ立っていた。
そんな私を見かねた店長は、即座に私をクビにしました。
私のバイト初体験はこうして幕を閉じたのです。
決してほめられる様なものじゃありません。
色んな事が頭の中で交差していたのを覚えています。
その後1年もしないうちにそのお店は潰れてしまいました。
何も覚える事も感じる事もしなかった私に、大きなきっかけを与えてくれたお店ですが、今でもあのライダースの人には申し訳なかったな~と思います。